セラピースペース ながしま
ようやく、こんな話ができる時代になってきました
最近、SNSなどで「相関関係と因果関係は違う」という話を目にする機会が増えてきたように感じています。
例えば、気温が高くなるとアイスクリームの売り上げが増える。
これは気温と売り上げに関連性があるということですが、アイスクリームが売れたから気温が上がったわけではありませんよね。
当たり前の話のようですが、実は医療の世界でも、この「関連性」と「原因」を混同してしまうことがあるのです。
そして、この問題はリハビリテーションにおいて、とても重要な意味を持っています。
ベッドに斜めに寝る人
私は2020年に独立し、自分のブログで「ベッドに斜めに寝ている人の空間認知」という記事を書きました。
これは、病院に勤務していた頃から疑問に感じていたことを文章にしたものです。
脳卒中などの患者さんがベッドに斜めに寝ていると、「空間認知に問題があるからだ」と説明されることがあります。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
空間認知の問題が姿勢の異常を引き起こしているのかもしれません。
一方で、身体の感覚や姿勢制御の問題が、空間の認知に影響している可能性もあります。
さらに、身体の動きと認知は相互に影響し合っているのかもしれません。
つまり、観察された一つの現象について、その原因を一方向から決めつけることは難しいのです。
人間の身体や脳は、単純な機械とは異なります。
身体、脳、環境は互いに影響を及ぼしながら、その人の行動を作り出しています。
私は長年の臨床経験の中で、こうした複雑な関係を考える必要性を感じてきました。
科学が明らかにしたことと、まだ分からないこと
医療では、研究によって治療の有効性を検証します。
これは非常に重要なことです。
しかし、ある治療法を受けた人たちの状態が改善したとしても、それだけで改善の原因がその治療法だったと断定できるわけではありません。
自然回復や、ほかの治療、生活環境などが影響している可能性もあるからです。
また、適切な研究によって治療効果が確認されたとしても、その結果がすべての患者さんに同じように当てはまるとは限りません。
研究に参加した人たちの特徴や、治療が行われた環境、評価に使われた指標などによっても、結果の解釈は変わります。
つまり、科学的な研究結果というのは、どのような条件で、何が、どの程度確かめられたのかという情報を含んでいるのです。
そこを無視して結論だけを取り出すと、研究本来の意味とは異なるものになってしまう可能性があります。
医学研究にも変化が起こっている
近年、医学研究の世界でも、こうした問題をより明確に扱おうとする動きが見られます。
例えば2021年には、英国医学研究会議(MRC)などが、複雑な介入を研究するための新しい枠組みを発表しました。
そこでは、介入の効果だけでなく、どのような仕組みで効果が生じるのか、環境との相互作用はどうなのか、といったことも重視されています。
また、2025年には、観察研究から因果関係を検討する研究について、報告の透明性を高める新しい指針も発表されています。
こうした動きは、研究結果を単純な正解として扱うのではなく、その成立条件や限界を明確にしようとするものだと理解しています。
もちろん、こうした考え方が医療従事者全体に十分広まったとは、まだ言えません。
それでも、研究の解釈や方法論そのものを問い直す動きが、以前より目立つようになってきたことは確かだと思います。
私が独立して発信を始めた理由
私は1989年からリハビリテーションの仕事に携わってきました。
病院に勤務していた頃から、こうした科学的な問題について考えることは少なくありませんでした。
しかし、病院という組織に所属していると、個人の発言が病院の見解として受け取られる可能性があります。
また、当時はインターネットも現在ほど発達しておらず、自分の考えを広く発信すること自体が容易ではありませんでした。
そうしたこともあって、独立してからは自分の責任で、自由に考えを発信することにしました。
もちろん、私が考えていることがすべて正しいというわけではありません。
むしろ、間違っている可能性があるからこそ、考え続け、検証し続ける必要があるのだと思っています。
そして、科学というものは、本来そのために存在しているのではないでしょうか。
科学を疑うことは、科学を否定することではない
研究結果やガイドラインに疑問を持つことは、科学を否定する行為ではありません。
どのような方法で研究されたのか。
どの程度信頼できる結果なのか。
その結論は、どこまで一般化できるのか。
こうした疑問を持ち、検討することこそ、科学的な姿勢なのだと思います。
近年、SNSなどでも、こうした視点から医療や研究について発信する人を見かけるようになりました。
長年、臨床の中で同じような疑問を持ち続けてきた私にとっては、少しうれしい変化です。
科学は、完成された正解を集めたものではありません。
今、何が分かっていて、何がまだ分かっていないのか。そして、それをどのように確かめていくのか。
その積み重ねによって、少しずつ理解を深めていくものなのだと思います。
病院勤務時代から考えてきたことを、今では自由に発信できる。
そして、その問題意識を共有する人たちも少しずつ見えるようになってきた。
ある意味、ようやくこんな時代に辿り着いたのかなぁ、などと思ったりしています。
(^_^)
関連ブログ
参考文献
Skivington K, et al. (2021). A new framework for developing and evaluating complex interventions: update of Medical Research Council guidance. BMJ, 374, n2061.
Cashin AG, et al. (2025). Transparent reporting of observational studies emulating a target trial: the TARGET Statement. BMJ, 390, e087179.
| 名称 | セラピースペース ながしま |
|---|---|
| フリガナ | セラピースペース ナガシマ |
| 住所 | 692-0011 安来市安来町1622-2 |
| アクセス | JR安来駅より車で3分 |
| 電話番号 | 090-7548-8677 完全予約制。電話又はメール、ホームページからご予約下さい。※営業電話はご遠慮ください。 |
| メールアドレス | khb00357@gmail.com 完全予約制。メール又は電話、ホームページからご予約下さい。 |
| 営業時間 |
|
| 支払い方法 | 現金払いのみ |
| 駐車場 | あり 軽自動車、小さな3ドアハッチバックなどの普通車であれば正面駐車場に止めることができます。大きなお車の場合は、あらかじめお電話でご連絡をいただければご案内致します。 |
| 開業日 | 2020年04月01日 |
| ホームページ | https://www.yasugits.com/ |
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