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Cute Movies

L change the WorLd

監督:中田秀夫

(c)2008「L」FILM PARTNERS
(c)「L」PLOT PRODUCE
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(c)「L」PLOT PRODUCE
(c)2008「L」FILM PARTNERS
(c)「L」PLOT PRODUCE
さようなら、L ~最期の23日間・Lが残したかったもの~

2006年、前・後編として公開された映画『デスノート』と『デスノート the last name』。
前・後編共に大ヒットとなり、その勢いは、香港、韓国、シンガポール、台湾、マレーシア、タイなどアジア圏にも拡大。「デスノート現象」といわれる社会現象まで巻き起こした大人気作からのスピンオフ映画がいよいよ公開。日本映画史上初めての日本・韓国・香港・台湾での同日公開をはじめ、すでに8カ国で公開が決定している、注目の作品だ。

『デスノート』で主人公と頭脳戦を繰り広げた謎の名探偵L。演じたのは、松山ケンイチ。一度見たら忘れられない奇抜な容姿を、細かい仕草にいたるまで見事に表現している。大場つぐみ・小畑健の原作『DEATH NOTE』のファンからも「マンガから抜け出てきたようだ」と高く評価された。
そんなLにスポットをあて、デスノートとは全く違う視点から描いたのが今回の映画『L change the WorLd』だ。視点は違うが、Lはあくまでも『デスノート』のLであり、物語は密接に絡み合っている。

L(松山ケンイチ)は『デスノート』でキラ事件の決着をつけるため、自ら究極の選択をする。残された時間は23日間。その最期の23日間に、いったい何があったのか。誰もが知りたかったLの最期の時間が、この作品に力強く、切なく描かれている。

キラ事件の決着のため、Lは最も信頼を寄せるパートナー、ワタリ(藤村俊二)を失った。大きすぎる喪失感の中、Lのもとに一人の少年と、少女がやってくる。彼らこそ、これから全世界が直面する恐ろしい事件のカギを握る子供達だった。Lは彼らを守るため、そして人間の手によって作り出された新たな「死神」と闘うため、自らの体を張って動き出した。

『デスノート』では、モニター越しに事件を解決してきたLが、今回は外へ飛び出し、さまざまな行動を起こす。これまでは考えられなかったアクティブなLを堪能できるのは、見どころの一つだ。

孤児院で育ち、特殊な教育を受け、ワタリと共に数々の難事件を解決してきたL。表には出さないが、深い孤独を抱え、生きてきたに違いない。Lの独特な仕草や、クセや、性格は、きっと寂しさの現れだと、私は思う。そんなLがワタリを失い、最後の大事件に直面し、子供達と触れ合う中で、少しずつ変化していく。まるで、固いバリアが溶けていくように…。

あまりにも迫力のあるシーンが多くて、手に汗をにぎっている間に、物語はあっという間に終盤に近づく。そこで、ふと思い出すのだ。Lの最期が迫っていることを。「死なないで、L」と思わずにはいられなかった。
Lは、限りある短い時間の中で、何を変えたかったのだろう?何を残したかったのだろう…。
それが、この映画の最大のテーマだ。

少なくともLは、この映画によって救われたと思う。そして、『デスノート』の最後に感じたLに対するやりきれない思いも、少しだけ救われる気がした。
text by...  岡原文恵

2008/02/06