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Cute Movies

ジェシー・ジェームズの暗殺

監督:アンドリュー・ドミニク

(C)2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
2008年1月12日公開

監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック、サム・シェパード 他
(C)2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
(C)2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
ブラッド・ピット=現代のヒーローが演じる歴史的英雄の意外な姿

南北戦争後のアメリカ。ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)は強盗、殺人を重ねる世紀の大悪党。しかしなぜか人々の興味を引きつけて止まなず、英雄視する風潮さえあった。アメリカでもっとも有名な歴史的人物の1人、ジェシー・ジェームズの実像とその死を巡るドラマ。深遠な洞察力と大胆な解釈で映画化。
*PG-12指定

ブラッド・ピットがベネチア国際映画祭で最優秀主演男優賞を穫った、と聞いたときはビックリしましたね。『レジェンド・オブ・ホール 果てしなき想い』(94年)でゴールデングローブ賞、『12モンキーズ』(95年)ではアカデミー賞にもノミネートされているピットですが、これまでどうしても演技派というイメージが描けませんでした。しかし芸術性を重んじるベネチアで賞を穫った作品となれば……高まる期待を抱えて行ってきました、「ジェシー・ジェームズの暗殺」。

繰り返し映し出される空の映像。何もない荒野にたたずむ男たち。あえて淡々と進む物語。いかにもインディーズ映画なにおいがプンプンします。しかし、何なのでしょう? それ自体が物語性にあふれる音楽。ブラッド・ピットいわく「質素かつ豪華な映像」。ときおり、メジャー級のスケール感が顔を出すのです。その意外な力強さに引っ張られて2時間40分という長丁場も何のその。ブラッド・ピット見たさのはずだったのが、ずっぽり作品の世界へはまってしまいました。
手下のギャングが垣間見せる人情味。逆にヒーローであるはずのジェシー(ブラッド・ピット)が抜け出すことのできない非合理な苦悩。観る側の先入観を丁寧にくつがえしていきながら、物語のリアリティを納得させていきます。

これは、若い人に見てほしい映画でもあるかもしれません。日々つくり出され、更新されていくヒーロー像。だいぶ身近になったとはいえ、日常を精いっぱい生きれば生きるほど、まぶしく映るようにできています。時代は違えど、“何かを成し遂げなければ”というプレッシャーを自らに課してしまうのは若者の特徴。勇気を振りしぼって、いざ等身大の自分を超えてみたら…そこに待ち受けるのは意外な現実かもしれません。


text by...  こうだ真紀

2008/01/07