脳卒中ではバランスをとることが難しくなります。
バランスは大きく2つに分けて考える事が出来ます。一つは重心が支持面をこえてしまったときにバランスを保つための反応で、転びそうになったときに足が一歩出たりする姿勢制御の状態です。これをリアクティブなバランスと呼びます。
もう一つは重心が支持面の中に収まっているときにでも動きと同時に或いは、動きに先行してバランスをとる姿勢制御で、プロアクティブなバランス反応といいます。例えば、前ならえの姿勢すると、両手の重さである体重の約8％ぐらいが前に突き出されることになりますので、多くの場合手を上げるときに背中が後方に移動します。2人おられたら一人気をつけの姿勢で横から見ていていただいて、前ならえをしてもらうと背中が少し後方に移動することが解ると思います。
リアクティブなものもプロアクティブなものも、基本的には無意識的な情報処理によって行われています。
プロアクティブな姿勢制御は先行性姿勢制御機構と言われていてAPA'sと呼ばれたりします。
このプロアクティブな姿勢制御はリアクティブな姿勢制御の基盤にもなっています。
まあ、脳卒中に限らないですがバランスが悪いと思われているひとは、このプロアクティブな姿勢制御を獲得することがとても大切になってきます。

写真はキブラーテストと言われるバランスの反応を観察、分析する際の姿勢です。
気をつけの姿勢から片脚立位になって、立っている反対の手で足の指先に触りに行き、触ったら片脚立位のまままた立位の状態に戻るという動きの中で姿勢制御のプロアクティブな要素とリアクティブな要素がどのように働いているのか推論を作っていくための手法です。
この方法はかなりバランスがとれているかたの為のものです。
やってみると膝が揺れたり反対の手に余分な力が入っていたり、頸部が過伸展したり･･･様々なリアクティブな要素が出現します。
何事も無くすっと出来る人は意外に少ないのです。