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デグナー監督、第28回東京国際映画祭「アジアの未来」部門、国際交流基金アジアセンター特別賞受賞!

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監督/脚本:デグナー
エグゼクティブ・プロデューサー:シエ・フェイ タン・コー
撮影監督:ムー・サイ ムー・チェンルン
美術:ハイルハン
音響:シュイ・チェン カオ・チウフイ
音楽:ハー・ビン
編集:チャン・ジエンホア
ライン・プロデューサー:チャオ・イエンミン
キャスト:トゥメン アリア デグナー バヤンゲレル

作品紹介

シャンシャンがイギリス留学から帰ると家族に異変が起きていた。別居していた父が肺癌で余命わずかとわかったのだ。実はシャンシャンも妊娠しているが、それを隠している。そんな状況のなか、疎遠だった父と娘は貴重な時間を共有しようとするが、相変わらずぎくしゃした関係のまま、父の最期が迫ってくる…。内モンゴル出身の女性監督デグナーの自伝的なデビュー作。主人公のシャンシャンを自ら演じている。デグナーはロンドンで学んだのち北京電影学院の大学院で修士号を取得。本作のクレジットにも、エグエクティブ・プロデューサーのシエ・フェイ(謝飛)をはじめ同学院の幹部の映画人が名を連ねている。内モンゴル的なローカル色は希薄だが、その分、父がかつて乗馬の名手としてならしたというエピソードが効いている。英語タイトルの「A Simple Goodbye」が示すように、親しい人との告別と新しい生命の誕生を、ドラマチックに作り込まず、淡々と描いている点がユニークである。

見どころ

第28回東京国際映画祭「アジアの未来」部門において、「文化の違いを超え、国際的な活躍が期待される新鋭監督に贈られる」という国際交流基金アジアセンター特別賞受賞が、内モンゴル出身の若手女性監督に贈られた。デグナー監督自らが主演した本作品はモンゴルの家庭を舞台に、上手くいかない家族関係と、父の最期が迫り来る中での娘と父の関係の変化を描いた。

本作品の英題『A Simple Goodbye』が示すように、作品内でドラマチックな演出を仕掛けることはせず、あえて淡々とストーリーを進行させることでリアルな悲しみを演出した。家族の間でのすれ違いが丁寧に、淡々と描かれていく。

また思っていたよりもモンゴル要素が少ないように感じた。鑑賞していて意味のわかりにくい場面は全くないと言ってもいいだろう。そのためアジア民俗に関する知識がなくても作品に入り込めるようになっている。

どんよりとした雰囲気の中で、最期の時を迎えようとする父。両親に妊娠を隠している娘。限られた時間の中で、親子の間にどのような変化が訪れるのか。第28回東京国際映画祭が将来を期待する若き女性監督が、今世界にはばたく。

(第28回東京国際映画祭にて鑑賞)

Text by EISUKE