地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、松江の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

松江の地域情報サイト「まいぷれ」松江

Cute Movies

リトルダンサー

監督:スティーブン・ダルドリー

白いチュチュを着た女の子たちに混じって
一人黒い短パン姿の男の子が必死にバレエの練習をしている姿は、なんとも可笑しくほほえましいものだ。
ちょっと居心地悪そうで、でも一生懸命で。

ボクシング教室に通っている11歳の少年ビリーは、
ある日隣のクラスのバレエ教室を覗いてから、バレエの魅力に夢中になってしまった。
80年代イギリスの田舎町では、まだ男の子がバレエをすることに周囲の理解は乏しい。
父親も「バレエなんて女の子がするもんだ」と大反対である。
それでも、バレエの魅力に取り付かれてしまった彼は、
家族に内緒でバレエの練習を続ける。

とにかく何が魅力的って、主役のビリー役の少年である。
爽やかな笑顔。はじける情熱。
なんて書くと、ほんと安易で安い感じだが、
この映画の一番の魅力は、彼の存在であることに間違いはない。
父さんは反対するけれど、
踊りが大好きでダンスをするのが楽しくて楽しくて仕方がない。
そんな彼がノリノリで踊っているのをみると観ているこちらまで浮き足立った気持ちになる。

とかく、夢を追う子供を描く話の中では、
その夢を理解してくれない親は、ただの夢の障壁としてしか描かれないことが多いけれど、
この映画は少し違っていたように思う。
妻を亡くし、炭坑夫の仕事を失いかけ、生きることに必死な中で、
気づくと一番「子供のため」を考えているはずの自分が
子供の夢の、将来の、障壁になっている。
それは父親自身にとっても、とても辛くて悲しいことだ。

人間なんて、大人だから父親だから完璧だなんてことは当然ない。
いくつになっても、多くの人が迷い悩み、後悔したりしながら生きていて、
そのことをこの映画は否定しない。

バレエ・ダンサーになる夢なんていうと、壮大な話にもなりそうだけど、
この映画はどこか庶民的で、地面を通じてどこかで繋がっているところの話という気がした。
主役は最高。音楽もいい。
かわいらしくて、ほわっと暖かい気持ちになる。
そんな映画です。

text by...  RS

2001/01/15