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篤一郎 さん
篤一郎 さん
2012/11/26 11:11:08
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曽田文庫応援団の方による新刊紹介です♪
いよいよ「総選挙」と年末がより慌ただしくなりました.
そんなときにこそ「本でもどうぞ」とお勧めします.
リチャード・ノース・パタースン「最後の審判」(東江一紀訳,新潮社,2002)
ミステリィのジャンルに「法廷」を扱ったものがあります.
ご存知のスコット・トゥロー「推定無罪」やジョン・グリシャム「依頼人」を挙げることが出来ます.
このパタースンも他の二人と同様法律事務所に勤めたという経歴の持ち主であるところから、当然ながらアメリカが舞台のこの物語を迫真的にしているかもしれないです.
有能な女性弁護士キャロラインは大統領の信頼を得て,今正に連邦裁判所判事に選ばれようとしている.
そんな多忙の中でマイナスになるかもしれないのに,父親の住む田舎で殺人容疑で逮捕された姪の弁護を引き受ける.
状況は極めて不利な中で,皮肉にも若いときの恋人が対決する地方検事を相手に手腕を発揮して行く,息をも付かせぬ迫力で最後まで読者を飽かせない.
結末は本書のタイトルに絡むのだが,陪審員制度が浸透している国ならではの駆け引きが良い.
もちろん日本にも、古くは和久峻三さんの「赤かぶ検事」や,現役弁護士中嶋博行さんなどの法廷ミステリィと言われるものがあるものの、根本的に法制度が異なっていることもあり,どこまでもフィクションで終わっている.
もちろん多作で水戸黄門の結末のようなワンパターンを繰り返す日本のミステリィをけなす訳ではないが,いつもあっと驚かされる外国ミステリィをより面白く思う理由です.
これさえあれば「居眠り」がさらに心地よいものになること請け合いです.