Cute Movies
10/18(土)より、TOHOシネマズ有楽座ほか全国ロードショー
(C)2014 STONE ANGELS SAS
【ストーリー】
ハリウッド女優として圧倒的な人気を誇っていたグレース・ケリーがモナコ公妃になってから6年後の1962年、グレースはいまだにモナコ宮殿のしきたりに馴染めずにいた。社交の場で女性が政治に意見するのは「アメリカ流」だと皮肉られ、夫のレーニエからも控えめでいることを望まれる。子供たちにも手がかからなくなり、行き場のない思いをもてあましていたそんなある日、ヒッチコックからハリウッド復帰の誘いがくる。その話に心を動かされたとき、レーニエは過去最大の危機に直面する。フランスのド・ゴール大統領が過酷な課税をモナコに強要、承諾しなければ「モナコをフランス領にする」という声明を出したのだ。
愛する家族を守るため、そして宮殿生活で見失っていた自分を取り戻すため覚悟を決めたグレースは、自分にしかできない秘策を考え出す。フランス語や外交儀礼の厳しい特訓を受けて、完璧な公妃の“役作り”に励み、ド・ゴールを含む各国の指導者を招いた “舞台”を用意する。グレースは自ら書いた“脚本”をどのように演じるのか?そのクライマックスとなる、運命を握るスピーチとは──?
【みどころ】
グレース・ケリーに扮するのは、『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞を獲得したニコール・キッドマン。グレースのクールな美しさを見事に甦らせた。そして、彼女が身につけている衣装や調度品の数々は必見! マルク・ボアンがグレースのためにデザインしたドレスが再現され、レーニエ国王が贈った婚約指輪や3連ネックレス、ティアラなどの精巧なレプリカが次々に登場する。クリスチャン・ディオールやシャネルが衣装を、エルメスがスカーフやケリーバッグを、カルティエがジュエリーを、スワロフスキーがドレスのクリスタルを提供するという、女性が見たら目がハートになるような豪華絢爛さ。それを難なく着こなすニコールは本当に優雅で美しかった。
宮殿で誰もが羨むような毎日を送っていても、グレースの心は満たされず、国王と別れてハリウッドに戻ろうかと悩んでいたころに勃発する政治危機。これがなければ、彼女の人生は再び大きく変わっていたかもしれない。愛する家族や国民を守るか、自分が望む道を行くべきか、大きく揺れ動く心の機微が細やかに描かれている。このあたりは現代女性が抱える共通テーマとして共感できるだろう。
たとえ迷っても、一度決意したら最後まで揺るぎない姿勢を貫く彼女の覚悟と勇気、その強さ。最後のスピーチには胸を打たれて涙が流れた。実際にあった史実をもとにしたストーリーなのも説得力がある。彼女の存在がなければ歴史が変わっていたかも? 激変の時代を生き抜いた最強の女性に心からの拍手を送りたい。
text by YUMI